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小林淳一
オリジナルの予告編も凄い
全米公開で生まれる新たな“相米熱”
「台風クラブ」が9月8日(金)よりアメリカ・ニューヨークで公開される。以降、順次、全米で公開されていく。今回の上映を手掛けるシネマ・ギルドのエドワード・マッカリー氏に話を聞いた。
「私自身が日本映画の大ファンで、主に1930年代・40年代・50年代の映画を観てきました。監督の名前でいえば、成瀬巳喜男であり、溝口健二であり、内田吐夢であり、清水宏といった作家たちです。そうした流れで、1970年代・80年代の日本映画にも興味をもち、5~6年前に出逢ったのが、相米慎二監督です。衝撃的でしたね。こんなフィルムメーカーがいるんだと。一瞬にして私にとってもっとも重要な作家のひとりになりました。そのとき観たのは「ションベン・ライダー」「台風クラブ」「お引越し」の3本。当時、アメリカでは相米監督はあまり知られた存在ではありませんでした。しかし、ニューヨークなどには熱心な支持者がいて、もっと上映すべきだという声があがっていたんです。シネマ・ギルドは1960年代からある会社ですが、80年代の日本映画を扱うのは初めてのこととなります。今年の4月に行われたニューヨークのジャパン・ソサエティでの相米作品特別上映を手伝いました。そして、そのときの熱気がきっかけで、今回の2本(「台風クラブ」「ションベン・ライダー」)の配給、全米での公開を決めたのです」
「台風クラブ」については次のように語る。
「完璧な映画。エモーションがあふれてきます。物語ではなく、子供たちのエネルギーを表したかった。人間の感情、情動が表現されています。いままさに、映画の中に自分がいる、そのように感じました」
アメリカ版の「台風クラブ」予告編、「ションベン・ライダー」予告編も、エドワード氏が編集を行った。それ自体が作品であるかのような、見事な世界観がそこに表現されている。「台風クラブ」のニューヨークでの公開日は9月8日(金)。相米慎二の命日の前日だ。
「アメリカでは金曜日初日なので、ベストな日を公開日にできたと感じます。相米監督の命日の前日から公開できるというのはたいへん意義を感じております。あまりアメリカでは紹介されてきませんでしたが、いまは勢いを感じています。私は相米慎二監督の作品は“見ればわかる”と確信しています。その熱は公開と共に広がっていくでしょうし、今後も残りの相米作品を上映していきたいと思います」
9月23日の東京での「台風クラブ 4Kレストア版」公開へ向けて、アメリカでの熱気が新たな相米熱を生もうとしている。
シネマ・ギルド「台風クラブ」HP
アメリカ版の予告編を公開!
「台風クラブ」アメリカ版予告編
「ションベン・ライダー」アメリカ版予告編
台風クラブ 4Kレストア版
監督:相米慎二
出演:三上祐一/紅林茂/松永敏行/工藤夕貴/大西結花/三浦友和
(1985年/115分)
(C)ディレクターズ・カンパニー
製作:ディレクターズ・カンパニー
提供:中央映画貿易/ダブル・フィールド
配給:A PEOPLE CINEMA
2023年9月23日(土)よりユーロスペース他にて全国順次ロードショー
作家主義 相米慎二2023 台風クラブ シナリオ完全採録
発売日:2023年9月9日(土)、アマゾンほか一部書店にて発売
*SHIBUYA TSUTAYA(4F・6F)、A PEOPLE SHOPにて8月29日(火)より先行販売
定価:2,200円(税込)
発行:A PEOPLE
A PEOPLE SHOP