相米慎二の神話的作品
ついに4Kで公開
2021年、ユーロスペースで行われたれレトロスペクティブ「作家主義 相米慎二」。相米慎二を知らない若い観客、女性観客がコロナ禍にもかかわらず押し寄せた。
全13作品上映の中でもいちばんの動員を記録したのが「台風クラブ」。相米慎二のマスターピースである「台風クラブ」がついに「4K」で蘇る。
「作家主義 相米慎二2023」として、いままた新たな発見が始まろうとしている。
それは1985年にはじまる。第1回東京国際映画祭・ヤングシネマ部門。
審査員のベルナルド・ベルトリッチが激賞、「台風クラブ」はグランプリに輝いた。
2001年、9月11日、アメリカ同時多発テロ発生。
その2日前、相米慎二は逝った――。
近年、急速に国際的な再評価が高まっている相米慎二。
台湾・香港のアカデミー賞と言われる金馬奨。
一昨年、相米慎二監督の特集が行われ、「台風クラブ」に対し、ホウ・シャオシェンは言った。
「――これが、映画だ。」
本年4月、アメリカ・ニューヨークでも上映が行われた。
その海外での再評価の波はさらに広がりを見せている。
2001年に夭折した相米慎二。
その神話的な一本が「台風クラブ」である。
待望の「4K」で、2023年秋に新生。
冒頭、プールサイドでバービーボーイズの「暗闇でDANCE」をラジカセで鳴らし、踊り狂う少年少女たち。
真っ暗と逆光のその映像が、よりリアルに、よりセクシャルに覚醒を遂げる。近年の上映で若い観客は「台風クラブ」を「ファンタジー」映画として見ていることが取材等でわかってきた。
ギリギリの刹那、それでいて、どこか異次元の空間と時間を生きているような感覚。
そして、性と死。
そうした「リアル」「エロス」「ファンタジー」という要素は、相米自身が夢幻していたかもしれない「画像」となって、「4K」で新しく生まれ変わる。
相米慎二も、「台風クラブ」も、常に現代であり、それは、映像の未来でもある。
全く新しい映画として、観たすべての者が(初見の者も含め)、新しい映像体験をすることであろう。
9月9日は相米慎二の命日。
生きていれば75歳であった。
今回の「4K」公開と相米慎二の命日に合わせ、書籍の刊行も決定した。
「作家主義 相米慎二2023 台風クラブ シナリオ完全採録」(発行:A PEOPLE 9月9日発売 予価1,760円(税込))。
出演者の工藤夕貴のインタビューを掲載。
「台風クラブ」ウォッチャーのクリエイターとして黒沢清(映画監督)、二ノ宮隆太郎(映画監督)、広瀬奈々子(映画監督)、野村麻純(女優)、ユン・ダンビ(映画監督)らが登場。夏目深雪、月永理絵、相田冬二、八幡橙、金原由佳ら評論家、海外の記者・評論家によるさまざまな「論」も掲載する。
そして、シナリオを完全採録。
読んでから観ても観てから読んでも、そこに、新たな発見があるだろう。
台風クラブ 4Kレストア版
発売日:11月2日(水)
定価:5,800円
発売元:中央映画貿易/ダブル・フィールド
販売元:オデッサ・エンタテインメント
監督:相米慎二
出演:三上祐一/紅林茂/松永敏行/工藤夕貴/大西結花/三浦友和
(1985年/115分)
(C)ディレクターズ・カンパニー
製作:ディレクターズ・カンパニー
提供:中央映画貿易/ダブル・フィールド
配給:A PEOPLE CINEMA
2023年9月23日(土)よりユーロスペース他にて全国順次ロードショー