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小林淳一
映画監督・相米慎二、幻のエッセイを出版
2001年9月9日、相米慎二監督は、亡くなった。
享年53歳。
今年は没後20年の年となる。
相米監督は1994年から1995年にかけて月刊誌でエッセイを連載していた。
もはやファンの間でも幻となっていたそのエッセイが、27年の時を超えて、2021年の現代に蘇える。
発売は、相米慎二監督の命日である9月9日。生きていられれば73歳。
本書「相米慎二 最低な日々」は自身初の著作。
その内容は、相米慎二監督のファンなら頷ける世界観であると共に、時にその次元を超えた摩訶不思議な相米慎二ワールドが展開している。
「あとがきにかえて」ということで、「あとがき」は俳優の永瀬正敏が担当。
本書のことはもちろん、「ションベン・ライダー」での出逢いからの日々とその想いを綴っている。
永瀬正敏(本書「あとがきにかえて」から抜粋)
「僕と相米のオヤジ(僕はいつの頃からか彼をオヤジと呼んでいたので、以下その呼称で続ける)の関係性は、映画監督と一俳優というものをはるかに超えていて、本当の血縁関係における父と息子のようなものだった(と勝手に思っている)。だから、息子側としては同性の親にまつわるこっぱずかしさが常にあり、会うと八割は不真面目な言葉を投げあった。ただ、ふとした瞬間にオヤジから出てくる重い言葉が会話の一割、二割あり、結局それが今でもずっと僕の心の中に重く残っている。彼の残したエッセイと一緒。どうでもいいことを書き連ねているんだけど、ラストの締めの一文にオヤジの強い感情が凝縮されていて、その情景が強く浮かんでくる」
さらに、映画ジャーナリスト・金原由佳がインタビューした貴重な原稿を再録。
「相米慎二、自作を語る。」は助監督時代の作品、そして、デビュー作「翔んだカップル」から「夏の庭The Friends」までを語りつくす。
「相米慎二に訊く、50の質問。」は当時の相米慎二の生の姿を伝える一問一答集。
没後20年の本年2月、渋谷ユーロスペースで行われた「没後20年 作家主義 相米慎二」にはたいへん多くの観客が集まった。
特徴的だったのが、相米慎二を知らないはずの若い世代や女性観客が多かったこと。
その人気の高まりから、7月にも横浜シネマリンで上映が行われた。
9月11日より渋谷ユーロスペースにて「台風クラブ」の凱旋上映が決定。
今後、命日の9月から全国で順次、「没後20年 作家主義 相米慎二」の特集上映の予定がある。
渋谷・ユーロスペース 「没後20年 作家主義 相米慎二」*下記1本を上映
上映期間:
・9/11(土)~9/17(金) 「台風クラブ」
富山県・ほとり座 「没後20年 作家主義 相米慎二」*下記3本を上映
上映期間:
・9/4(土)~9/10(金) 「台風クラブ」
・9/11(土)~9/17(金) 「ションベン・ライダー」
・9/18(土)~9/24(金) 「風花」
相米慎二を過去の監督としてではなく、現代の作家として、未来の作家として、語っていこう。
そのとき、本書「相米慎二 最低な日々」は最良のテキストとなるはずだ。
相米慎二 最低な日々
著者:相米慎二
9月9日(木)発売開始
定価:2,750円(税込)
書店及びネット書店、「相米慎二」特集上映の劇場にて販売
発行:A PEOPLE株式会社