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小林淳一
35ミリ ニュープリントで上映
9月9日は、映画監督・相米慎二の命日。没後20年にあたる。
今年2月より渋谷ユーロスペースで行われた「没後20年 作家主義 相米慎二」。コロナ禍にも関わらず、たいへんな人気を博した。
命日の時期に合わせ、9月11日より渋谷ユーロスペースで「作家主義 相米慎二」のスペシャルとして「台風クラブ」の凱旋上映が決定した。
35ミリ ニュープリントでの上映となる。
東京国際映画祭(ヤングシネマ)グランプリ作品。審査員のベルナルド・ベルトリッチが激賞したことは有名。
ディレクターズ・カンパニーのシナリオ公募で準入選第2席となった脚本を映画化した。バービー・ボーイズの「暗闇でDANCE」「翔んでみせろ」、出演者たちが歌う「もしも明日が…。」などの音楽が鮮烈な印象を残す。
三浦友和の役者的転換点となった作品で、その演技はそれまでのイメージを超えた。
主演のひとり、工藤夕貴は「逆噴射家族」の記憶と共に、ディレクターズ・カンパニー作品を印象付ける女優と言えよう。
地方都市の市立中学校。
夜、そのプールに理恵ら5人の女の子が泳ぎに来た。
彼女たちは、先に来ていた明に気付き、からかった挙句、溺死寸前まで追い込んでしまう。
野球部員で夜のランニングの途中だった同級生の恭一と健に助けを求める。
担任の教師、梅宮も駆けつけ、生徒たちのいたずらを諭す。
恭一に「台風、来ないかな」という理恵。
……やがて台風がやってきて、理恵はひとり東京へと向かい、恭一たちは学校に閉じ込められてしまう。
ふたつの物語が展開し、それは彼らの中の狂気をも呼び覚ましていく……。
没後20年の命日に合わせ、2冊の書籍も発売となった。
「相米慎二 最低な日々」(発行:A PEOPLE)は相米慎二がかつて連載していたエッセイを書籍化。
映画ジャーナリスト・金原由佳による当時の貴重なインタビューを再録(「相米慎二、自作を語る。」「相米慎二に訊く、50の質問。」)。
「あとがきにかえて」ということで、永瀬正敏が相米への熱き想いを綴る。
「相米慎二という未来」(発行:東京ニュース通信社)は相米映画の出演者、関係者、相米ウォッチャー、全25人のインタビュー集。
小泉今日子、佐藤浩市、三浦友和、浅野忠信、斉藤由貴、牧瀬里穂らが登場。
相米ファンとして、唐田えりか、村上淳、松居大悟、板垣瑞生、土井裕泰が相米映画の感動と驚きを語る。
「没後20年 作家主義 相米慎二 アジアが見た、その映像世界」
台風クラブ
監督:相米慎二 脚本:加藤祐司 撮影:伊藤昭裕
出演:三上祐一/紅林茂/松永敏行/工藤夕貴/大西結花/金沢朋子/三浦友和
(1985年/115分)
9月11日(土)~17日(金) 渋谷 ユーロスペースにて公開
(C)ディレクターズ・カンパニー
相米慎二 最低な日々
著者:相米慎二
定価:2,750円(税込)
発行:A PEOPLE株式会社
9月9日(木)発売
*ユーロスペースで購入の方に「作家主義 相米慎二」ポスター、ポストカードを数量限定でプレゼント
相米慎二という未来
編者:金原由佳/小林淳一
定価:2,970円(税込)
発行:東京ニュース通信社
発売中