text
生嶋マキ
著者インタビュー・李鳳宇
トークイベントの開催も決定
「LB 244+1 ポン・ジュノ、ケン・ローチ、パク・チャヌクを発掘し、「月はどっちに出ている」「KT」「フラガール」を創った者として――」著者の李鳳宇のインタビューをお届けする。李鳳宇トークイベントの開催も決定(詳細は下記)。
*
関わってきたすべての作品を振り返ってみる?
この本のお話が届いた時、それって可能なのだろうかと思いました。なにせ200以上の数がありますし、資料だってすべて残っているかどうかもわからない。
スタッフも入れ替わり、海外で働いているスタッフもいます。まさに記憶をたどる長い旅なのですが、その懸念はすぐに払拭されました。
案外、記憶って残っているものです。書いていくうちにいろんなことを思い出し、これまで作品に関わったたくさんの人たち、監督や制作スタッフ、俳優や配給会社、プロモーションや映画祭での出会い、それらを思い出す作業は楽しく、「あんな映画をもう一度やってみたいな」という切望だったり、「どうしてあの映画は失敗したのだろうか」という反省だったり。
これまで目の前のことにしか興味がなくて、振り返ることがなかった自分を、分析できてとても貴重な時間になりました。
現在、開演中の舞台「パラサイト」が実現するまでの経緯や、ポン・ジュノ監督との出会いを振り返ると、あの時、まだ若かった彼と、あれこれ映画の話をした時間が、特別な意味を持っていたんだと感じます。
彼だけでなく、出会った沢山の映画人の情熱と足跡を改めて見つめると、映画の成功と失敗、そのすべてが点と線でつながっている気がしています。映画製作に於いて、成功とは偶然の産物ではなく、日々の積み重ねの結果なんだと感じます。
演劇に携わっていても同じく、毎日の稽古が大事だということを感じます。お芝居は生モノ、毎回、毎ステージ、違うものが舞台から現れる快感があります。
自分が知らなかった世界ってわくわくしますし、舞台照明ひとつとっても知的好奇心を満たしてくれます。
一期一会の作品に惹かれるのは、自分が年をとってせっかちになったからかもしれません(苦笑)。
見飽きたような映画は、観ることにも撮ることにも飽きてしまったようです。
きっとこの公演が終わって、夏あたりには何か新しい挑戦が始まる予感がします。
今回の舞台では、稽古に毎日顔を出し、本番にもできるだけ行こうと考えているのですが、それは、パリから戻ってきた頃と同じような新鮮な気分です。
映画の仕事を深く知ろうと、当時は、どんな現場にも顔を出しました。自分でコピーを書き、宣伝し、劇場営業やキャンペーンもやりました。
毎日、毎作品が学びの連続でした。きっとその過程で信用も得ていったんでしょう。
『月はどっちに出ている』を作ろうと考えた時、こんな映画を撮るつもりだと話すと、周囲は「それって何がおもしろいの?」と疑問視しました。
のちに画期的と賞賛される作品でも、始まりは無謀な挑戦からスタートするのかもしれません。
だから誰かが「それってどこが面白いの?」って訊いてくるような作品を残したいです(笑)。
フィールドや表現方法は違っても、常に新しい挑戦ができる自分でありたいと願っています。
最後に、将来映画に携わりたい人がこの本を読んで、勇気を得てくれたら嬉しいです。
李鳳宇トークイベント開催決定!
「LB 244+1」発刊記念
著者 李鳳宇トークイベント
7月22日(土) 13:00開演
会場:神保町ブックセンター
トーク(90分)
*トーク終了後、希望者の方に書籍へのサインを行います
応募資格:A PEOPLE SHOPで「LB 244+1」購入者限定
→1人につき1冊購入→応募資格獲得/ただしイベント参加者は応募者多数の場合は抽選により決定
→イベント参加希望←チェックボックスつける
スケジュール:A PEOPLE SHOPでの限定販売は6月16日(金)14:00~7月12日(水)23:59まで
→7月14日(金)にイベント当選者にメール配信(会場など詳細をメールします)
A PEOPLE SHOP
A PEOPLE BOOKS
A PEOPLE
「LB 244+1」
定価:2,420円(2,200円税抜)
発行:A PEOPLE株式会社
発売:6月16日(金)よりA PEOPLE SHOPにて先行販売
7月中旬よりアマゾンほか一部書店にて発売
A PEOPLE SHOP