「ゴッドファーザー」も名作だが、「ゴッドファーザーPARTⅡ」もまた違った趣とベクトルの名作であることは、映画ファンなら熟知していることだろう。「PARTⅡ」のほうが、というひとも少なくはない。
おそらく本作は今後、そのように語り継がれていくのではないか。そもそも「神と共に 第二章:因と縁」は、「神と共に 第一章:罪と罰」の続編というよりは、後編と呼んだほうがしっくりくる。つまり、2本でワンセット。旅の往路と復路。物語は完全に継続しているが、副産物ではない。いや、むしろ、「第二章」のために「第一章」はあった。そう断じることに何のためらいも不要なほど、必然性に満ちあふれている。
今回は、3人の使者たちの前世が語られることになる。なぜ、3人は千年もの永きにわたって、冥界でこのような仕事をしているのか。そして、なぜ、この3人は行動を共にしているのか。その理由が明かされる。だが、謎解きがこの作品の本質ではない。邦題のサブタイトルが示している通り、これは「因果」という概念そのものを、具体的なエピソードの積み重ねによって、映画ならではの解きほぐしとして提示している。この姿勢はすでにエンタテインメントの領域を超越してもいる。
地獄より前世の印象が強い。いや、前世あっての地獄なのだという真実を、問答無用で突きつけてくる。このシリアスさを緩和するために、強力な助っ人、マ・ドンソクが登板する。贅沢な起用だが、この贅沢さが、語りの地道さに貢献していることを知ったとき、わたしたちは「神と共に」という二部作をより深く愛することになるだろう。
冒頭、「お前はどうして泣いているのだ?」という問いがなされる。そして、中盤で、次のような決定的な台詞がある人物の口から発せられる。
「事実だけを話してくれ。判断はするな。判断や解釈は聞き手がするんだ」
わたしたちは、多かれ少なかれ、罪を犯して生きている。いつか、何者かに裁かれるかもしれない。罰を与えられるかもしれない。そのとき、自分はどのような申し開きをするのか。だが、どのようなことを述べたとしても、判断や解釈をするのは自分ではない。そして、そのときに明らかになるのは己という存在をめぐる「因果」なのである。
これ以上語るのは野暮である。だが、一言だけ言い添えるなら、本作は時間をめぐる物語であり、時間とは得るものではなく、与えられるものであるということ。映画を愛する者であれば、映画が時間芸術であることを痛感しているはずだ。「神と共に 第二章:因と縁」は、時間を享受することの本質を、わたしたちに語りかけてくる名作である。
Written by : 相田冬二
「神と共に 第二章:因と縁」
監督:キム・ヨンファ
出演:ハ・ジョンウ/チュ・ジフン/キム・ヒャンギ/チャ・テヒョン/D.O./マ・ドンソク
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「神と共に 第一章:罪と罰」大ヒット公開中
「神と共に 第二章:因と縁」は6/28(金) 新宿ピカデリーほか全国ロードショー
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