作家主義 レオス・カラックス アートシアター1988×2022
2021年4月1日より公開されたレオス・カラックス監督作「アネット」。本書は「アネット」が公開された“2022”の現在と、「汚れた血」が公開された“1988”の過去を結ぶ。1988 年、「ヌーヴェル・バーグ・ヌーヴェル・バーグ元年。ゴダールの再来。フランス映画界がついに生んだ“恐るべき子供」との惹句で登場したレオス・カラックス。時はまさにヴィム・ヴェンダース、ジム・ジャームッシュらの新作が毎年公開された“アートシアターの時代”。「ボーイ・ミーツ・ガール」「汚れた血」という初期衝動によって突き動かされたような映画を撮り、「ポンヌフの恋人」という傑作によって圧倒的に当時のシネフィル少年少女の心をつかんだ。そして、10年ぶりとなる新作となったのが「アネット」。また事件性を秘めた問題作を世に出した。「1980年代アートシアターの時代が生んだ怪物こそがレオス・カラックス」とは、本書における映画監督・塩田明彦の弁。1980年代のアートシアターの空気を知る曽我部恵一、川村元気、行定勲、野村佐紀子らが、レオス・カラックスを、そして、「アネット」を語る。そして、相田冬二、月永理絵による全作品レビューも掲載。それぞれの人の中に、それぞれの時代のレオス・カラックスがおり、それは今も生き続けている。
目次
- アートシアター時代1988 レオス・カラックス登場の衝撃
- 「汚れた血」との出逢い。すべてがそこにあった。
曽我部恵一
- メタフィクションにすることで、自画像ではないよ、としたのか。
川村元気
- ピエールはカラックスそのもの。全部、自分のこととして撮った。
行定勲
- COLUMN
- 1980年代、アートシアター時代を席巻した“色”と、 カラックスの映像
高橋周平
- カラックスの映画以上にカラックスその人に魅力がある。
井之脇海
- アレックスの場所に、私はいまもそこにいるんです。
野村佐紀子
- レオス・カラックス
- レビュー
- 「ボーイ・ミーツ・ガール」
- 「汚れた血」
- 「ポンヌフの恋人」
- 「ポーラⅩ」
- 「メルド」
- 「ホーリー・モーターズ」
- 「アネット」
- すべてのカラックス作品は、失敗である。
塩田明彦
- カラックスのイリュージョン。
横浜聡子
- アートシアター時代2022 もう一度、作家で映画を観よう
- 「レオス・カラックス」論
相田冬二
- 判型 B5
- 頁数 61
- 定価 1,200円(1,091円税抜)
- ISBN 978-4-909792-27-3
- Cコード C0074
- 発行日 2022年3月19日